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東京高等裁判所 平成6年(行コ)33号 判決

東京都江戸川区松島二丁目三二番三号

控訴人

佐藤和好

右訴訟代理人弁護士

榎本武光

後藤寛

東京都江戸川区平井一丁目一六番一一号

被控訴人

江戸川税務署長 小高正己

右指定代理人

秋山仁美

佐藤謙一

江島勝信

佐藤大助

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が平成元年三月三日付けで控訴人に対してした

(一) 昭和六〇年分以降所得税の青色申告の承認の取消し

(二) 昭和六〇年分の所得税の更正のうち所得金額を三〇四万七七二二円として計算された税額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定

(三) 昭和六一年分の所得税の更正のうち所得金額を二三八万二一〇三円として計算された税額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定

(四) 昭和六二年分の所得税の更正のうち所得金額を四八二万〇七六二円として計算された税額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定をいずれも取り消す。

3  訴訟費用は、第一、第二審とも被控訴人の負担とする。

二  控訴の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二当事者の主張及び証拠関係

原判決事実摘示のとおりであるから(ただし、原判決一二頁九行目の「同月二〇日」を「昭和六三年一二月二〇日」に改め、同四三頁六行目の「本件記録」の次に「(当審分を含む。)」を加える。)、これを引用する。

理由

一  次のように付加、訂正するほかは、原判決の理由説示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決四七頁一一行目の「使用し」の前に「、洋一を従業員として」を加える。

2  同六八頁一〇行目の「いないのである」の次に「(弁論の全趣旨及びそれにより真正に成立したと認められる甲第一九号証によれば、控訴人は、当審において、甲第一ないし第三号証の各三3記載の商品番号からその商品名を調べた結果(その調査の裏付けとして成立に争いのない甲第二〇、第二一、第二八、第二九号証が提出されている。)を右各書証に付加した甲第一九号証を提出しており、これによれば、イシカワ電工からの仕入には、一般配線工事用と思われる多量の部品材料のほか、精米器、ドライヤー、テレビ台等の電化製品の記載が見られるが、右のようにイシカワ電工からの仕入商品のみが商品番号のみで記載されているとの点は、特段の事情につき立証のない本件では、やはり不自然であることに変わりはないから、右の点から、本文での判断を左右するに足りない。)」を加える。

3  同七〇頁五行目の「べきである。」の次に「この点、控訴人は、係争各年には、大規模かつ複雑な工事を受注した場合は、全てこれを清水電工に外注していたものであって、その際清水電工から交付されていた詳細な注文書等をみて、工事に関する売上や原価を管理していたと供述しているが、後記第二の二の2の(四)の(1)のとおり、控訴人が係争各年には大規模かつ複雑な工事を受注した場合は、全てこれを清水電工に発注していたとする部分はにわかに信用できないのみならず、清水電工から交付されていた詳細な注文書等をみて、工事に関する売上や原価を管理していたというのも、これを裏付けるに足りる証拠がなく、直ちに信用することはできない。」を加える。

4  同八〇頁二行目の「のであり」を「こと、例えば、昭和六〇年分の仕入中の製品(甲第一号証の三2。製品につき整理したものが、甲第二二号証)をみても、八月の吊戸棚、九月のトワレ、一一月の流し台は単品の製品として販売するようなものではなく、設置工事等が必要なものであること、控訴人は、同年分の仕入製品八個のうち、四個は精米機であり、工事を要するものでないと主張するものの、帳簿上右仕入れに対応するような売上の記載が見当たらず、果たして真に控訴人が精米機四個分を仕入れたのかすら疑わしいことからすると」に改める。

5  同九三頁三行目の「(5)」を「(6)」に、同九二頁二行目の「(4)」を「(5)」に、同九一頁四行目の「(3)」を「(4)」に、同九〇頁一行目の「(2)」を「(3)」に、同八八頁一行目の「(1)」を「(2)」に改め、同八七頁一一行目の次に改行して次のとおり加える。

「(1) 昭和62年九月一日法律第八四号により電気工事士法が改正され、右改正法は昭和六三年九月一日施行されたが、右改正前は、電気工事士は一般用電気工作物を設置し、又は変更する工事の作業に従事することができるとされていたものであるところ、控訴人は昭和四六年から電気工事士の資格を有していたことからすると、控訴人は、本件係争年度において一般用電気工事を行うことができたものと解される。なお、控訴人は、当時主任電気工事士でなかったというが、主任ではないとしても、電気工事士たる資格に影響はない。

これらの事情からすると、係争各年には大規模かつ複雑な工事は受注してもこれを施工できず、そのため、このような工事を受注した場合は全て清水電工にこれを発注していたという控訴人の右供述は到底信用することができない。」

6  同九五頁二行目「(四)」を「(五)」に改め、同一行目の次に改行して次のとおり加える。

「(四) 前掲の乙第三一号証の三によれば、控訴人は、昭和六二年中に雇入の給料賃金として、洋一に対し二三六万四〇〇〇円を支払ったことが認められる。(なお、右書証によれば、洋一は昭和六二年から控訴人と生計を別にすることになったと考えられる。)」

7  同一〇行目の「合計欄」の次に「(ただし、昭和六二年分については、洋一は事業専従者ではないので、洋一の分四五万円を除いた一〇五万円)」を加える。

8  同九五頁一行目の「特別経費」の次に「(ただし、昭和六二年分については、右3の(四)で認定の雇入給料賃金二三六万四〇〇〇円を加えたもの)」を、同一、二行目の「事業専従者控除額」の次に「(ただし、昭和六二年分については、右4のとおり一〇五万円」を同三行目の「〈8〉」の次に「(ただし、昭和六二年分については、右に述べたところに従い、二三六万四〇〇〇円を減算し、四五万円を加算した七七四万九一〇一円)」を加える。

二  以上によれば、控訴人の本件請求は理由がなく、これと同旨の原判決は正当であるから、本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担について行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 鈴木康之 裁判官 大前和俊 裁判官 伊藤茂夫)

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